福島県からの自主避難における賠償など法的支援

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原発事故子ども・被災者支援法の基本方針改定を求める声明
2014年6月22日

 2年前の6月21日、原発事故子ども・被災者支援法(以下、「支援法」といいます。)が衆議院本会議にて全会一致で可決、成立しました。

 支援法は、放射線被曝の健康への影響は、科学的にはまだよくわからない、という「予防原則」の前提に立った上で(法1条)、「支援対象地域」における居住、他の地域への移動および移動前の地域への帰還、という被災者一人ひとりの選択を尊重するものと定め(法2条2項)、私たちが求めてきた「被曝を避ける権利」の実現に向けて、大きな一歩を踏み出すものでした。

 そうした理念の下に医療や健康、移動、住宅等さまざまな支援策を講じることを規定した支援法の制定は、目にみえない放射線の影響を懸念し、不安を抱いている被災者にとって、光となり、大きな期待と希望を抱かせてくれるものでした。

 しかし、希望の光であったはずの支援法はいまや骨抜きにされ、その輝きを失っています。昨年秋に閣議決定された支援法に基づく基本方針は、支援法の趣旨を没却しており、被災者らのニーズに応えるものとは到底言えません。

 支援法制定から2年が経過し、原発事故から3年以上が経過した現在においても、被災者らの生活再建や健康への不安は拭われていません。

 私たちは、いま改めて、放射線による健康影響を防ぎ、被災者の安定した生活を実現するため、支援法が掲げた理念に基づく適切な支援策の実行を求めます。

 健康・医療問題では、支援法が掲げる予防原則に基づき、「生涯にわたる健康診断」(法13条2項)や「医療費の減免措置」(同条3項)を早期に実施しなければなりません。

 生活保障では、とりわけ支援法に基づく避難者の「住宅の確保」(法9条)の実現が喫緊の課題となっています。一部の避難先では住宅確保の支援が打ち切られ、避難者が退去を迫られる事態が生じ始めています。また、現在実施されている住宅支援は短期的・限定的・硬直的なものであり、避難者の生活基盤を不安定にするものとなっています。

 支援法は、「施策の具体的な内容に被災者の意見を反映し、当該内容を定める過程を被災者にとって透明性の高いものとするために必要な措置」(法14条)を講ずることを政府に求めています。被災者それぞれの選択を支援するために、被災者の声を支援施策に反映させる仕組みが必要です。

 誰のための、何のための法律なのか。それは法律の正式名称からも明らかです。「被災した子どもをはじめとする住民等」の「生活を守りささえる」ための法律なのです。被災者の真のニーズを取り入れ、被災者の「光」となる支援法の輝きを取り戻すべく、速やかに基本方針を改定し、法の趣旨に則った施策を実施するよう、改めて求めます。

以上

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