福島県からの自主避難における賠償など法的支援

RSS
facebook
twitter
お問い合わせ

意見書

▶意見書の一覧へ

原発事故によって生じた 放射線被ばくの被害者に対する 恒久的な対策立法の制定を求める立法提言
2012年2月27日

私たちは、下記の通り、原発被害者のための恒久的な対策立法を求める提言を発表しました。

原発事故によって生じた
放射線被ばくの被害者に対する
恒久的な対策立法の制定を求める立法提言

2012年2月25日

 

福島の子どもたちを守る法律家ネットワーク(SAFLAN)
共同代表 弁護士 梓 澤 和 幸
同    弁護士 河 﨑 健一郎

第一 趣旨

この立法提言は,東京電力福島第一原子力発電所の事故(以下「原発事故」という。)によって放出された放射性物質により,広範囲にわたる長期的な放射線被ばくの被害が発生している現状に鑑み,原発事故による放射線被ばくの被害状況下にある全ての住民の生命と健康を守り,ことにこの国の将来の希望である子どもたちの健康で健全な成長のための環境整備に万全を期することを目的とする。

第二 選択的避難区域の設定

国は,東京電力福島第一原子力発電所の事故に起因する被ばく量が年間1ミリシーベルトに達するおそれがある地点を含む市区町村のうち,政府が設定した警戒区域及び計画的避難区域以外の地域を,「選択的避難区域」に指定すること。(以下,警戒区域,計画的避難区域及び選択的避難区域を併せて「選択的避難区域等」という。)

 
第三 災害救助法の適用・適用期間の延長

1 各都道府県知事は,「選択的避難区域」のうち,現在災害救助法が適用されていない市町村について,災害救助法を適用すること。

2 各都道府県知事は,「選択的避難区域等」について,原発事故発生から少なくとも5年間は災害救助法を継続して適用すること。

3 厚生労働省は,応急仮設住宅供与としての民間賃貸住宅の借上げについて,少なくとも5年間は国庫負担の対象とし,その旨を各都道府県知事に周知すること。

第四 移住・避難者の生活再建支援

1 「選択的避難区域等」に居住する者が,当該区域外への移住または一時避難等の適切な措置を自ら選択する権利を有することを,法律上明示すること。

2 前項に基づき,当該区域外への移住または一時避難等を選択した者に対しては,住居の確保,生活必要物資の提供,雇用の援助等の生活再建支援に関する受け入れプログラムを「選択的避難区域等」に指定された市町村が策定することを促し,国がこれを財政的に支援すること。

3 当該区域外に移住または一時避難した者が「選択的避難区域等」に帰還する場合についても,帰還後の生活再建支援を「選択的避難区域等」に指定された市町村が策定することを促し,国がこれを財政的に支援すること

4 前3項の保障に加え,「選択的避難区域等」に指定された市町村は,「選択的避難区域等」に居住する子どもに対して,可能な限り被ばく量を低減するための多様な保養プログラムを実施することを促し,国がこれを財政的に支援すること。

第五 累積被ばく量の把握支援と医療費及び健康管理手当の支給

1 都道府県知事は,「選択的避難区域等」に居住する者または居住した者に対して,申請に基づき,健康管理手帳を交付すること。

2 都道府県知事は,健康管理手帳の交付を受けた者に対して,その選択に応じて,自己の累積被ばく線量を計測・把握しこれを記録することを支援するために必要な施策を実施すること。

3 都道府県知事は,健康管理手帳の交付を受けた者に対して,毎年,健康診断を行うこと。

4 厚生労働大臣は,健康管理手帳の交付を受けた者が負傷又は疾病により医療を受けたときは,保険診療の自己負担分について,医療費を支給すること。

5 厚生労働大臣は,健康管理手帳の交付を受けた者であって,特定の障害を伴う疾病(原発事故に起因する放射線被ばくの影響によるものでないことが明らかであるものを除く。)にかかっているものに対し,健康管理手当を支給すること。

以上

ページトップへ