福島県からの自主避難における賠償など法的支援

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プレスリリース:原発ADRにおいて自主的避難等対象区域外からの避難者への賠償実現:母子避難において残された父の慰謝料は否定
2013年4月17日

2013年4月17日

関係各位

福島の子どもたちを守る法律家ネットワーク(SAFLAN)

原発ADRにおいて自主的避難等対象区域外からの避難者への賠償実現
母子避難において残された父の慰謝料は否定

 福島第一原発事故後、自主的避難等対象区域外である福島県白河市から札幌市へ母子避難した世帯が、東京電力に対して損害賠償を申し立てていた事件において、原子力損害賠償紛争解決センター(原発ADR)において、4月5日、自主的避難等対象区域(福島市や郡山市など)とからの避難者とほぼ同様の和解が成立しました。

【事案の概要】

 福島県白河市に居住していた父母・子ども2名(事故当時中1・小5)の世帯のうち、母と子ども2名が、原発事故後の2011年7月、札幌市に避難した事案。原発ADRを通じて、東京電力に対し、避難実費、慰謝料、収入の減少分などの賠償を求めました。福島の子どもたちを守る法律家ネットワーク(SAFLAN)所属の弁護士が弁護団を務めています。

 なお、福島県白河市は、2011年12月に原子力損害賠償審査会が定めた「自主的避難等対象区域」からは外れており、東京電力が子ども・妊婦一人あたり20万円のみという独自基準での賠償を行っています(裏面の表を参照)。

【和解の概要】

 原発ADRからの和解案に基づく和解契約の内容は以下の通りです。

・東京電力は、2011年分の損害として、既払いの40万円の他に、134万7190円を支払うことになりました(合計174万7190円)。

・避難した3名について大人一人あたり4万円、子ども一人あたり20万円の慰謝料。このほかに、避難交通費、家財道具購入費、二重生活に伴う生活費の増加分、父による札幌訪問のための面会交通費、母の離職に伴う減収分等が賠償の対象となりました。

・一方、白河市に残る父には慰謝料が認められませんでした。

【評価】

・原発ADRが、2011年4月22日以降の自主的避難等対象区域外からの自主避難についても賠償を認めた初めての事案であると思われ、同区域外からの避難者による賠償請求が加速することが予想されます。東京電力は、避難者からの直接請求に応じるべきです。

・政府による様々な区域分けによって分断されてきた現状を打破し、被害実態に即した賠償の実現のための一歩となることが期待されます。

・一方、原発ADRによる避難者の慰謝料に関する判断は少額に留まり、また画一的に過ぎます。

・また、母子避難により二重生活を強いられ、子どもと面会する機会が極めて限られるに至った父の慰謝料が認められなかったことは、極めて遺憾です。

本件に関する問い合わせ先:
Tel: 03-3234-9133 / Fax: 03-3234-9134 / 311saflan@gmail.com
弁護士 福田 健治

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